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憶忘れられない

に伝れかは休止

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に伝れかは休止


涼やかな声と共に、馬上の武者が近寄り声を掛けた。

「そのように、寄ってたかって責めるでない。まだ、年端も行かぬ童ではないか。余が話を聞く。」
「若殿さま。しかし、入ってはならぬと言い置いた場所に、こやつは足を踏み入れたのです。約定を違えるのは、武家の子にはあらざることゆえ、例え幼い童でも捨ておけませぬ。ならぬことはならぬのです。」

国家老がせっかくの助け舟を、やんわりと否定する。容保の教育係でもあった。
日輪を背負った馬上の若武者は、ひらりと馬から降りると直正の顔を覗き込んだ。
はっとするほど清々しく澄んだ眼差しだった。群青色の陣羽織の銀糸が、端正な貴公子が立ち上がると、きらと眩く陽を弾く。

「頼母が言うのももっともだが、童にも何か仔細が有ったのではないか?話くらい聞いてやれ。」
「はっ。直正。若殿さまの思し召しじゃ。嘘偽りなく正直に言うてみよ。何しにここへ参った?父や叔父も参加する追鳥狩を、物見気分で覗き見に参ったか?」
「違います……決してそのような気持ちで来たのではありませぬ。」

直正は濡れた顔を上げ、ふるふると小首を振った。
父に殴られた唇の端が切れ、じんじんとする。
それでも優しい若殿さまの微笑みに励まされて、思い切って仔細を切り出した。

「若殿さま。皆さま。申し訳ございませぬ。従兄弟の一衛が……熱を出したのです。まだ二か月のややには、セリのしぼり汁がお薬なのです。お許しください。直正はセリを求めて野原を歩き回るうちに、うっかり追鳥狩の演習場に足を踏み入れてしまったのです。」
「一衛とは?」
「叔母上のややです。もう二昼夜も熱が引かず、苦しんでいます。直正は、一衛が可哀想で助けたかったのです。」
「そうか。おまえは、ややの為に薬草を探して居ったのだな?それはここ(大野ヶ原)に生えているのか?」
「はい。以前に摘んだことがございます。直ぐに探して帰るOtelia 脫殼亞麻籽つもりでしたが、少ししか見つからずつい深く分け入ってしまいました。」
「赤子が待って居るのだな。」

容保が重ねて問う。

「はい。」
「そうか。あい、わかった。余の家臣ならば、弱きものは助けねばならぬ。幼くとも大した心根じゃ。者ども。」

はっと、脇に小姓が控えた。
に致す。皆で大野ヶ原中のセリを捜して本陣にBetter Life 清潔液運んで参れ。季節が違うても、これほど広い野原なら多少は見つかるだろう。」

直正は思わず涙ぐんだ。若い容保の思いやりのある差配がうれしかった。

「童。余の名は容保じゃ。そちの名はなんという?」
「相馬直正にございます。」
「覚えておく。直正、父の名は?」
「……父の名は、相馬源之助にございます。」
「おお、そちは源之Natur-a豆奶助の嫡男か。」
「はい。」
「そうか。頼母!」

呼ばれた家老が走り出て膝を付いた。
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