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憶忘れられない

振りながら去っ

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振りながら去っ


「ああ、弁当を使うんだな。ちょっと待ってくれ、すぐ片づけるから。この席が一番涼しいもんな」
「あの、急がないでいいです。僕ヒマだから。あの、今日は売れましたか」
「うん。いい方だよ。夏は戸外じゃ鮮度が落ちやすいから、早めに店じまいしてるんだ」
「今残っている野菜はどうなるんですか? まだ十分売れそうだけど」
「表に商売っ気のないコーヒー屋が来てただろう? あいつにやるのさ。俺が来られない時はあいつが自分の店といっしょに店じまいして、片づけてくれるから相身互いだ」
へええ。
「にいちゃんが社会人になる頃には頭油多、あいつもちゃんとしたコーヒー屋になるだろうから、お得意さんになってやってな」

ブルーエンジェル20120820おじいさんだってかなり商売っ気がない方だと思うけど、もしかして遺伝かな。でも親とか孫とかじゃないみたい。全く全然似てないから。僕が「はい、わかりました」と返事をすると、おじいさんは「ありがとう。よろしくな」と手を振りながら去って行った。

お握りと団子2本を食べたら德善、食べざかり中学生男子としては、まことに程よくお腹のすきまが残っている。さあ、デザートだ。デザートこそお駄賃の正味ってもんだ。もう一度移動販売車へGO。
「おや、君、おかわりかい?」
「はい、いえ、今度はデザートです。ずんだどら焼きとアイスカフェオレください」
「ありがとう。今カフェオレを作るから、ちょっと待ってね」
いそいそって感じで、お兄さんが作業を開始した。
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